ジャケットのブラッシングって地味で、効果があるのか分かりにくいですよね。
でもブラッシングは絶対に続けた方がいいです。地味でも続けていくと報われるときがやってきます。
この記事では、ブラッシングの必要性を感じにくい人に向けて具体的にどんな効果があるのか、ブラッシングする際のポイントなどをお伝えします。
また、ブラシの購入を検討している人のために、おすすめの紹介もしていますので参考にしてください。
ブラッシングの真の効果を知るには長いスパンが必要
ブラッシングを続けた最終到達点は「ジャケットの寿命が延びる」ことです。
とはいえ「生地に付いたホコリを払う」日々の作業は効果が見えにくいため、やりがいがないのも事実。
そこで少しでもモチベーションがアップするように、ゴールに至るまでの道のりを整理してみます。
いつものブラッシングがジャケットにどんな効果を与えているのかを細分化するため、日々のブラッシングで得られる効果を「すぐ分かる効果」、積み重ねてできた結果を「あとから分かる効果」に分類しました。
ブラッシングですぐ分かる効果
すぐ分かる効果は3つに細分化できます。
- ホコリが取れる
- 通気性が良くなる
- 繊維の流れが整う
順に説明します。
ホコリが取れる
ジャケットを着ているときに、繊維の奥まで付着したホコリや汚れをブラシで取り除きます。
ブラッシングすると、ホコリが舞うのが見えるのでキレイになった実感があります。
- ホコリや汚れを長時間放置しておくと、シミやくすみの原因に
- 食べかすが残っていると、そこから虫食いが発生するリスクが高まる
通気性が良くなる
ホコリが取り除かれると繊維の間がクリアになるので、空気が通りやすくなります。
- 通気性が悪くなると湿気が繊維にとどまり、カビが発生するリスクが高まる
繊維の流れが整い、光沢がでる
乱れた生地の流れが均一になるので、生地本来の光沢を取り戻すことができます。
毛足が長いフランネルなどの方が、違いが分かりやすいです。
- 繊維が絡まって起こる毛玉の発生、潰れて起きるテカリの発生リスクが高まる
あとから分かる効果
- クリーニング回数が減る
- 寿命が延びる(ゴール)
クリーニングの回数が減る
ブラッシングでホコリが取り除かれた生地は、通気性が良く整った状態を維持できます。
そのためシミやカビに侵されるリスクが低くなりクリーニングに出す回数が少なくなります。
寿命が延びる(ゴール)
クリーニングの回数が減ると生地にかかる負担が少なくなるので、ジャケットの寿命が延びることに。
クリーニング回数が増えて生地のダメージが強まり、早期処分となる
やはり日頃のブラッシングは地味でも、長いスパンで見れば大事な作業といえます。
ブラッシングは方向と手首のスナップを意識する
ブラッシングが大事な作業ということが分かっても、効果的な方法を把握していなければ意味がありません。
ポイントを3つにまとめてみました。
- 線ではなく点でかける
- 逆目のあと順目でかける
- 衿裏や肩と袖の縫い目は念入りに
逆目のあと順目でかける
まず下から上(逆目)に向かってブラシをかけます。生地を起こしてホコリを掻き出すイメージでおこないます。
その際、ホコリが浮きやすくなるように軽く叩くようにしてかけるのがポイント。
そのあとは上から下(順目)に向けて生地の目を整えるようにかけてあげましょう。
逆目は、線ではなく点でかける
たとえば袖をかけるとき、端から端まで「シャー」と1回で済ませず、手首のスナップを使って「シャッ、シャッ」と何回にも分けてかけるようにします。
そのほうがよりホコリを掻き出せるからです。
衿裏や肩と袖の縫い目は念入りに
衿裏はホコリや汚れがたまりやすい場所です。衿を立ててあげて裏側もブラッシングを。
肩と袖の縫い目もホコリがたまりやすいので、こちらも念入りにしましょう。
ブラシ選びは所有ジャケットの素材で判断
選び方のポイントは、「所有するジャケットの素材」によって判断すると失敗が少ないです。
それによって、毛の種類を「豚毛」か「馬毛」のどちらかに決めていきます。
豚毛は固め、馬毛は柔らかめ
一般的に豚毛はしっかりした毛質、馬毛は柔らかめの毛質といわれています。
例えば所有するジャケットが英国製のしっかりしたウールやツイード生地が中心なら豚毛、イタリア製の繊細な生地や極細繊維が中心なら馬毛、といった基準で選ぶ感じです。
1本だけなら万能タイプを選ぶ
しっかりした生地と繊細な生地どちらも持っている場合、両方揃えるのが理想ですが1本だけなら「万能タイプ」をおすすめします。
ウールでもカシミヤでも使える「いいとこどり」なのがこの万能タイプです。
探せば結構あるのでそれを選んでおけば幅広い素材に使用できて便利です。
豚毛や馬毛は天然素材なので静電気が起こりにくく、一度取れたホコリがまた生地に吸いついてしまうことが少ないのがメリットです。
そのほか、毛が長めで密度が高いものを選ぶとブラッシング効果が高いのでその辺りも意識してみてください。
持ち手のあるなしについては好みで選べばいいと思います。それぞれの特徴は以下の通りです。
持ち手あり:持ちやすさを重視したい、引っかけて保管したい
持ち手なし:コントロールを重視したい
「万能タイプ」ブラシのおすすめ5選
この記事をご覧になって興味をもった人がいるかもしれませんので、何点かおすすめを紹介します。
今回は「万能タイプ」に絞っての紹介です。
ショージワークス(ShojiWorks):四角い馬毛の洋服ブラシ HQ-1
1925年(大正14年)創業、兵庫県に工場を構えるショージワークス。
ウールやカシミヤ、モヘアにも使える万能ブラシで、持ち手のないスクエアな形がカッコイイです。
毛:白馬毛 サイズ:W55×L185×H95㎜
ナカタハンガー:洋服ブラシ 馬毛 Clothes Brush Horse Hair
1946年創業のハンガーメーカーの持ち手付きブラシです。
ウール、カシミヤ、リネン、コットン、ポリエステルと幅広く使用できます。
毛:馬毛 サイズ:全長255㎜、毛足の長さ:35㎜
江戸屋:手植え洋服ブラシ 万能タイプ極上
1718年創業の老舗メーカーが開発した持ち手付きモデル。
職人が1本ずつ手で植えているので毛が抜けにくいです。豚毛ですがウール、カシミヤのほか着物にも使用できます。
毛:豚毛 サイズ:W55×L260×H67㎜ 毛足の長さ:47㎜
ブラシの平野(平野刷毛製作所):手植え羽子板型/水雷型
1942年(1953年に法人化)東京・足立区で創業。
ひとつ上の江戸屋と同じく手植えのブラシでカシミヤにも使用できます。
毛:馬毛 全長:260㎜ 毛足の長さ:55㎜
個人的にはコレがいちばん気になります
持ち手のない水雷型タイプもあります。
毛:馬毛 全長:210㎜ 毛足の長さ:55㎜
まとめ:ブラッシングは最後に笑うメンテナンス
日々のブラッシングは、ただホコリを払うだけの地味な行為と思ってしまいがちですが、
- 生地の通気性や毛並みを整え
- 汚れが付きにくくなり
- クリーニング回数が減る
その結果、ジャケットの寿命が延びるための「先行投資」だと考えれば、日頃のブラッシングがもっと有意義に感じられますよね。
ジャケットに最適なブラシと効果的なブラッシングで、お気に入りのジャケットと長く過ごしましょう!